遺言書の種類

自筆証書遺言

要件

遺言書の全文を自分で書く

遺言は必ず書面にしなければなりません。録画テープや録音テープ、DVD、CDに記録されたものは遺言としての効力はありません。

書面の形式について特別な決まりはありませんが、遺言者自身が遺言の全文を書く必要があります。

代筆は無効となりますので、他人に手を添えて書かれたものは無効とされます。

しかし手が添えられていても他人の意思が介在していないことが明らかである場合は自筆と認められる可能性があります。

タイプライターやワープロ、パソコン、点字機などを使ったものは自筆とは認められませんが、遺言の全文、日付、氏名をカーボン紙を使って複写して記載したものは自筆と認められています。

自筆であれば、外国語でも速記文字を使って書いても構いません。

また遺言は全文が1枚の用紙に記載されている必要はなく、複数枚にわたっていても全体として1通の遺言書と確認できれば有効です。

日付を自分で書く

日付は年月日を記載するのが基本ですが、たとえば「70回目の誕生日」などのように日付の特定ができれば年月日が記載がなくても構いません。

これに対して「平成○年○月吉日」といった記載では日付が特定できないので、日付を欠く遺言として無効とされます。

遺言書が複数枚にわたっていても、1通の遺言書として作成されているときは、日付はそのうち1枚にあれば有効です。

また、遺言の本文と同一の書面に記載されている必要はなく、遺言書を封筒に入れて、封をして封筒に日付を記載したような場合も有効です。

氏名を自分で書く

原則として氏名を両方を記載することになりますが、遺言者だと特定できるのであれば、どちらかのみの記載でも構わないとされています。

また芸名や雅号、通称の記載でも構わないとされています。

押印する

印鑑の種類は問われず、拇印でも構いません。

さらに主に外国人で押印する習慣がない人はサインでもよいとされています。

しかしできれば実印を用意してそれを押すほうがよいでしょう。

遺言書が複数枚になっても、それが1通のものとして作成されているときは、そのうち1枚に押印があれば足りますが、できれば契印して一体の文書だとわかりやすくしておくほうがよいでしょう。

メリット

  • 紙と筆記用具さえあれば、作成できる
  • いつでも誰にも知られずに作成できる
  • 費用がほとんどかからない

デメリット

  • 作成方法に不備があれば無効となってしまう
  • 紛失したり、第三者が偽造、変造、破棄、隠匿するおそれがある
  • 遺言者の死後、相続人が相続手続きをするためには、家庭裁判所で検認を受けなければならず、手間と費用がかかる

公正証書遺言

要件

証人が2人以上立ち会う

次にあげる人は公正証書遺言の証人になれません。

  • 未成年者
  • 推定相続人・受遺者及びその配偶者並びに直系血族
  • 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び雇人
遺言者が公証人に遺言内容を口授する

口授とは、遺言の内容を口頭で伝えることをいいます。

しゃべることができない人は、公証人および証人の前で遺言の内容を通訳または筆談によって伝えることになります。

外国語を使って口授することは問題ありませんが、公正証書は日本語で作成するように決められていますので、通訳が必要になります。

口授は遺言の内容を特定できる程度で構いませんので、細かく公証人に伝える必要はありません。

遺言者および証人に読み聞かせ、または閲覧させる

公証人は、遺言者から口授された遺言の内容に基づいて書面を作成します。

遺言者または証人が耳が聞こえない場合は、公証人は筆記した内容を通訳によって遺言者または証人に伝えることで、読み聞かせに代えることができます。

また読み聞かせではなく、閲覧によって確認することもできます。

遺言者と証人が署名・押印する

遺言者および証人が筆記が正確であることを承認したら、それぞれが公正証書遺言の原本に署名と押印します。

遺言者が署名できない場合は、公証人がその理由を付記して署名に代えることができます。

押印は証人は認印でも構いませんが、遺言者本人は実印を押します。

公証人が署名・押印する

公証人は公正証書遺言がきちんと法律に定められた方法で作成された旨を付記して、署名と押印します。

実際の公正証書遺言の作成は、あらかじめ遺言者からの相談内容や遺言の内容が書かれたメモなどをもとに遺言書を作成し、証人立会いのもとで遺言者に読み聞かせ、内容に誤りがなければ、それぞれが署名・押印するという流れになっています。

メリット

  • 体が不自由でも作成できる
  • 法律の専門家である公証人が作成するため、形式不備で無効になるおそれがほとんどない
  • 原本が公証役場で保管されるため、紛失、偽造、変造、破棄、隠匿のおそれがない
  • 家庭裁判所で検認を受ける必要がないので、家族の負担を軽減できる

デメリット

  • 作成の手数料がかかる
  • 証人を2人用意しなければならない

秘密証書遺言

要件

遺言書に署名・押印する

遺言を作成するときに遺言者が自筆で書く必要はなく、ワープロやパソコン、タイプライターなどを使っても構いません。

遺言に日付を記載する必要はありませんが、署名は自分で書かなければなりません。

証書を封じて封印する

遺言者は作成した遺言書を封をして、遺言書に使った印鑑で封印します。

秘密証書遺言は検認手続きが必要で、遺言書の開封は家庭裁判所で相続人またはその代理人の立ち会いのもとでおこなわなければなりません。

公証人および証人の前で申述する

遺言者は、公証人1人および証人2人以上の前に封をした遺言書を提出して、自分の遺言書であることならびに筆者の氏名および住所を伝えます。

遺言者がしゃべることができない場合は、公証人および証人の前で、その証書が自分の遺言書であることならびに筆者の氏名および住所を封紙に自書することになります。

それぞれが署名・押印する

公証人がその証書を提出した日付および遺言者の申述を封紙に記載したあと、遺言者および証人とともに署名し、押印します。

これらの要件を満たしていない秘密証書遺言は、作成方法に違反がありますので、無効となってしまいます。

しかし、封をされた遺言書が遺言者の自筆で書かれており、自筆証書遺言の要件を満たすものである場合には、無効となった秘密証書遺言は有効な自筆証書遺言として効力が認められます。

秘密証書遺言は、公証役場で作成されますが、保管は公正証書遺言と違って自分でしなければなりませんので、注意が必要です。

メリット

  • 公証役場で作成されるため本人が作成した遺言書であることが証明しやすい
  • 遺言書の内容を作成者のみの秘密にできる

デメリット

  • 公証人による内容のチェックがおこなわれないため、作成方法不備による無効の可能性がある
  • 作成の手数料がかかる
  • 証人2人を用意しなければならない
  • 遺言書の保管を作成者本人がしなければならないので、紛失のおそれがある
  • 遺言者の死後、相続人が相続手続きをするためには、家庭裁判所で検認を受けなければならず、手間と費用がかかる
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